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Version 5.1 |
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ポストオフィスプロトコルを使うことで、メールサーバー上のメールボックスのメッセージを取り 出すことができます。ユーザーがメッセージを取り出す場合、ユーザーはコンピュータ上のメー ラー( メールクライアント) アプリケーションからメールサーバーに接続し、アカウント(ユー ザー) 名とパスワードを送信します。そのユーザーに、指定したアカウントに対してアクセスする権限が与えられているときには、メーラーアプリケーションから、処理に必要なプロトコルコマンド がメールサーバーに送信されます。こういったプロトコルコマンドを通じて、メールボックスのメッセージがすべて抽出され、そのうち 必要なメッセージが取り出されます。または、削除されます。メーラーでは、単一のメッセージ全部 を取り出すこともできますし、メッセージの最初の部分だけを指定して取り出すこともできます。
POP3 プロトコルでは、マルチメールボックスアカウントはサポートされていません。そのため、 ユーザーがクライアントアプリケーションで、マルチメールボックス(フォルダ) アカウント( メー ルボックスがマルチメールボックスのアカウント) を指定したときでも、自動的にINBOX メール ボックスがオープンされます。
クライアントアプリケーションから、メールボックスのメッセージの削除要求がサーバーに送信され た場合、そのメッセージはすぐには削除されず、マークが付加されます。その後、クライアントアプ リケーションのセッションが正常に終了し、接続が閉じた時点で、削除マークが付けられたメッセー ジが実際に削除されます。
POP モジュールでは、POP プロトコルの拡張機能であるXTND XMIT がサポートされています。こ の拡張機能により、ユーザーは、SMTP プロトコルではなくPOP プロトコルを介してメッセージを 送信できるようになります。
システムログのレコードのうち、POP モジュールによって記録されたログにはPOP タグが付加され ます。
[Maximum Number of Channels] オプションでは、POP モジュールで使用されるチャンネル(接 続) の最大数を指定できます。この数は、POP モジュールが作成できる「リスナー」の最大数です。 サーバーからメッセージが取り出される際、メールクライアントによってPOP 接続が確立されます。 その場合、POP モジュールでは、最大で、ここで指定した数の接続(同時接続) が使用されます。 オープンしている受信接続が、この数に達している場合、新規の受信接続は拒否されます。したがっ て、メールクライアントでは再度、接続を試行しなければなりません。
POP モジュールは、デフォルトでは、TCP ポート110 を使ってクリアテキスト接続で受信接続が受 け付けられるように設定されています。一方、セキュアPOP 接続の場合、標準のTCP ポートは995 で、このポートはデフォルトでは無効になっています。POP モジュールのポートの変更については、listener link to tune the POP リスナーのセクションを参照してください。
POP モジュールでは、STARTTLS コマンドがサポートされています。STARTTLS コマンドを使うこ とで、クライアントメーラー上でまず、クリアテキストモードで接続を確立し、その後、接続をセ キュア接続に変更することができます。
一般のPOP サーバーでは、メールボックスは、メールクライアントではなくPOP サーバーによって オープンされ、その後、POP サーバーによってメールボックスの内容が検索されます。CommuniGate Pro のPOP モジュールでは、これとは異なり、オープンされているメールボックスに対してPOP モ ジュールとメールクライアントの両方から同時にアクセスが可能です。この処理については、詳しく は直接メールボックスアドレッシングのセクションを参照してください。
ただし、POP3 プロトコルでは、その設計上、上記の機能がサポートされていません。そのため、 CommuniGate Pro のPOP モジュールの実際の動作は、次のようになります。クライアントアプリケーション上で、メッセージがRETR コマンドを使って取り出される際、メッ セージに"Seen" (読了) フラグが付加されます( このフラグは、そのメールボックスをIMAP クライ アントでアクセスしたときに認識されます)。また、POP メーラーでは、TOP コマンドを使ってメッ セージの最初の部分だけを取り出すこともできますが、その場合は"Seen" (読了) フラグは付加さ れません。
Microsoft の電子メールクライアントのサポートのため、POP モジュールでは、非標準の" 空白 AUTH" コマンド(パラメータなしのAUTH コマンド) をサポートしています。このコマンドを使っ て、サポートされているSASL方式のリストを取得できます。
XTND XMIT プロトコル拡張は、とくにモバイルユーザーにとって有用です。つまり、CommuniGate Pro サーバーのスパム防御機能のため、モバイルユーザーは通常、CommuniGate Pro のSMTP を介し てメッセージを送信することはできませんが、このXTND XMIT プロトコル拡張(をサポートしてい るクライアントアプリケーション) を使用することでSMTP 経由のメッセージ送信が可能になりま す。また、POP 接続によるメッセージ送信は、「アドレス記憶」スキームでも可能ですが、この方式 よりXTND XMIT プロトコル拡張のほうが便利です。XTND XMIT プロトコル拡張の場合、時間の制 限がないためです。
ユーザーが、そのアカウントに再度、接続を実行した場合、次のアラートメッセージがエラーとして 返送されます。この処理は、アラートメッセージがなくなるまで続きます。
アカウント名 (メーラーのサーバー設定で指定できます) |
アクセス対象のメールボックス |
jsmith | アカウントjsmith のメールボックスINBOX |
private#jsmith | アカウントjsmith のメールボックスprivate |
lists/info#jsmith@client1.com | ドメインclient1.com のアカウントjsmithのメールボックスlists/info |
また、ユーザーは、POP モジュールを介して、任意のアカウントの任意のメールボックス(つまり フォリンメールボックスまたは共有メールボックス)、また、任意のパブリックメールボックスにア クセスすることもできます。フォリンメールボックスとパブリックメールボックスについては、詳し くは直接メールボックスアドレッシングのセクションを参照してください。
別のアカウントのメールボックス(フォリンメールボックスなど) にアクセスする場合、アカウント 名を~ 別のアカウント/ メールボックス名# アカウント名の形式で指定します。下は、例です。アカウント名 (メーラーのサーバー設定で指定できます) |
アクセス対象のメールボックス |
jsmith | アカウントjsmith のメールボックスINBOX |
~public/announces#jsmith | パブリックメールボックスannounces |
~boss/INBOX#jsmith | アカウントboss のメールボックスINBOX |
別のアカウントのメールボックスにユーザーがアクセスし、メールボックスのメッセージに対して削 除を行った場合、そのユーザーに、そのメールボックスのメッセージを削除する権限が付与されてい なかったときには、削除処理は失敗します。同時に、そのユーザーのメーラーにエラーコードが出力 されます。
POP モジュールではまた、直接メールボックスアドレッシング機能がサポートされており、この機 能を介して追加のメールボックスのオープンが可能です。
例えば、クライアントメーラーでユーザー名としてabcdef@client1.com が指定されている場合 (例を参照)、このアドレスは、ルータによりローカルのアカウントCl1 にルートされ、その結果、 アドレスのローカル部abcdef が返ります。
その後、POP モジュールにより、ローカル部がチェックされ、ローカル部の文字列が空白でなかっ た場合、アクセス対象のメールボックスに対してフィルタリングが実行されます。つまり、メール ボックスのメッセージのうち、X-Real-To ヘッダフィールド(または、Local Delivery モジュールで 指定されているヘッダフィールド) がないメッセージ、または、指定されている文字列( ローカル 部) がX-Real-To ヘッダフィールドに格納されていないメッセージはすべて、非表示として処理さ れます(つまり、表示されません)。
つまり、ユーザー名がabcdef@client1.com の場合、そのアドレスにルートされたメッセージだ けがアカウントCL1 のメールボックスに表示されます。
一方、ユーザーがアカウントCl1 で接続を実行すると、アカウントCL1 のメールボックスが開きま す。この場合、ローカル部の文字列が空白のため、メールボックスのメッセージはすべて表示されま す。