CommuniGate Pro
Version 5.1
アカウントへのアクセス
 
 
 
POP

POP モジュール

CommuniGate Pro のPOP モジュールは、POP3 サーバーとして機能します。このモジュールにより、 ユーザーはクライアントアプリケーション( メーラー) から、POP3 インターネットプロトコル (STD0053、RFC1939、RFC1734、RFC1725) とTCP/IP ネットワークを介して、アカウントのメール ボックスのメッセージを取り出せます。

CommuniGate Pro のPOP モジュールでは、XTND XMIT を含め、複数のプロトコル拡張機能がサポー トされています。メーラーによっては、こういった拡張機能を使ってメッセージをCommuniGate Pro サーバーに送信することもできます。

ポストオフィスプロトコル(POP3)

ポストオフィスプロトコルを使うことで、メールサーバー上のメールボックスのメッセージを取り 出すことができます。ユーザーがメッセージを取り出す場合、ユーザーはコンピュータ上のメー ラー( メールクライアント) アプリケーションからメールサーバーに接続し、アカウント(ユー ザー) 名とパスワードを送信します。そのユーザーに、指定したアカウントに対してアクセスする権限が与えられているときには、メーラーアプリケーションから、処理に必要なプロトコルコマンド がメールサーバーに送信されます。こういったプロトコルコマンドを通じて、メールボックスのメッセージがすべて抽出され、そのうち 必要なメッセージが取り出されます。または、削除されます。メーラーでは、単一のメッセージ全部 を取り出すこともできますし、メッセージの最初の部分だけを指定して取り出すこともできます。

POP3 プロトコルでは、マルチメールボックスアカウントはサポートされていません。そのため、 ユーザーがクライアントアプリケーションで、マルチメールボックス(フォルダ) アカウント( メー ルボックスがマルチメールボックスのアカウント) を指定したときでも、自動的にINBOX メール ボックスがオープンされます。

クライアントアプリケーションから、メールボックスのメッセージの削除要求がサーバーに送信され た場合、そのメッセージはすぐには削除されず、マークが付加されます。その後、クライアントアプ リケーションのセッションが正常に終了し、接続が閉じた時点で、削除マークが付けられたメッセー ジが実際に削除されます。

POP モジュールでは、POP プロトコルの拡張機能であるXTND XMIT がサポートされています。こ の拡張機能により、ユーザーは、SMTP プロトコルではなくPOP プロトコルを介してメッセージを 送信できるようになります。


POP モジュールの設定

POP モジュールの設定を行う場合、Web ブラウザでWebAdmin の[Settings] セクションの[Access] ページを開きます。

処理
ログレベル: チャネル: リスナー
[Log] オプションでは、POP モジュールによってサーバーログに記録される情報の範囲( ログレベ ル) を指定できます。通常、このオプションは[Major] ( メッセージ転送レポート) または [Problems] ( メッセージ転送/ 非致命的エラー) にしておきます。一方、POP モジュールに問題が発生していると思われるときには、[Low-Level] または[All Info] に設定します。この場合、それぞれ、プロトコルレベルの情報またはリンクレベルの情報がシステム ログに記録されます。なお、問題が解決すれば、ログレベルを元に戻します。[Low-Level] または [All Info] のままにしておくと、システムログファイルのサイズが急速に大きくなります。

システムログのレコードのうち、POP モジュールによって記録されたログにはPOP タグが付加され ます。

[Maximum Number of Channels] オプションでは、POP モジュールで使用されるチャンネル(接 続) の最大数を指定できます。この数は、POP モジュールが作成できる「リスナー」の最大数です。 サーバーからメッセージが取り出される際、メールクライアントによってPOP 接続が確立されます。 その場合、POP モジュールでは、最大で、ここで指定した数の接続(同時接続) が使用されます。 オープンしている受信接続が、この数に達している場合、新規の受信接続は拒否されます。したがっ て、メールクライアントでは再度、接続を試行しなければなりません。

POP モジュールは、デフォルトでは、TCP ポート110 を使ってクリアテキスト接続で受信接続が受 け付けられるように設定されています。一方、セキュアPOP 接続の場合、標準のTCP ポートは995 で、このポートはデフォルトでは無効になっています。POP モジュールのポートの変更については、listener link to tune the POP リスナーのセクションを参照してください。

POP モジュールでは、STARTTLS コマンドがサポートされています。STARTTLS コマンドを使うこ とで、クライアントメーラー上でまず、クリアテキストモードで接続を確立し、その後、接続をセ キュア接続に変更することができます。


ユーザーの認証

POP モジュールでは、CommuniGate Pro サーバーでサポートされている認証方式をすべて使用でき ます。また、APOP 方式もサポートされています。

セキュア(暗号化) アクセス

POP モジュールでは、ユーザーのメーラーからの接続をSSl/TLS (暗号化) 接続で受け付けることも できます(POP モジュールのリスナーポートの変更が必要です)。また、POP モジュールではSTLS コマンドもサポートされており、このSTLS コマンドを介して、クライアントとの間でまず、プレー ンテキストの非暗号化接続(TCP ポート110 を使用) を確立し、その後、その接続で暗号化通信を 開始することもできます。

特殊機能

一般のPOP サーバーでは、メールボックスは、メールクライアントではなくPOP サーバーによって オープンされ、その後、POP サーバーによってメールボックスの内容が検索されます。CommuniGate Pro のPOP モジュールでは、これとは異なり、オープンされているメールボックスに対してPOP モ ジュールとメールクライアントの両方から同時にアクセスが可能です。この処理については、詳しく は直接メールボックスアドレッシングのセクションを参照してください。

ただし、POP3 プロトコルでは、その設計上、上記の機能がサポートされていません。そのため、 CommuniGate Pro のPOP モジュールの実際の動作は、次のようになります。

クライアントアプリケーション上で、メッセージがRETR コマンドを使って取り出される際、メッ セージに"Seen" (読了) フラグが付加されます( このフラグは、そのメールボックスをIMAP クライ アントでアクセスしたときに認識されます)。また、POP メーラーでは、TOP コマンドを使ってメッ セージの最初の部分だけを取り出すこともできますが、その場合は"Seen" (読了) フラグは付加さ れません。

Microsoft の電子メールクライアントのサポートのため、POP モジュールでは、非標準の" 空白 AUTH" コマンド(パラメータなしのAUTH コマンド) をサポートしています。このコマンドを使っ て、サポートされているSASL方式のリストを取得できます。


XTND XMIT 拡張機能

CommuniGate Pro のPOP モジュールでは、XTND XMIT プロトコル拡張をサポートしています。この 拡張機能がメーラーアプリケーションでサポートされている場合(例えば、Eudora など)、そのメー ラーアプリケーションからPOP 接続を介してメッセージをサーバーに送信できます。

XTND XMIT プロトコル拡張は、とくにモバイルユーザーにとって有用です。つまり、CommuniGate Pro サーバーのスパム防御機能のため、モバイルユーザーは通常、CommuniGate Pro のSMTP を介し てメッセージを送信することはできませんが、このXTND XMIT プロトコル拡張(をサポートしてい るクライアントアプリケーション) を使用することでSMTP 経由のメッセージ送信が可能になりま す。また、POP 接続によるメッセージ送信は、「アドレス記憶」スキームでも可能ですが、この方式 よりXTND XMIT プロトコル拡張のほうが便利です。XTND XMIT プロトコル拡張の場合、時間の制 限がないためです。


通知アラート

POP3 プロトコルには、クライアントメーラーに通知アラートを送信する機能は一切、ありません。 そのため、アカウントに送信待機中のアラートメッセージがあり、そのアカウントに対してユーザー から接続要求があった場合、接続要求はいずれも、そのユーザーの認証後に拒否されます。同時に、アラートメッセージテキストが格納されたエラーコードが返ります(下記)。
ALERT: アラートメッセージテキスト

ユーザーが、そのアカウントに再度、接続を実行した場合、次のアラートメッセージがエラーとして 返送されます。この処理は、アラートメッセージがなくなるまで続きます。


追加のメールボックスに対するアクセス

POP3 プロトコルでは、IMAP とは異なり、アカウントの単一のメールボックス、つまりINBOX メー ルボックスに対してのみアクセスが可能です。

一方、CommuniGate Pro のPOP モジュールでは、ユーザーは、そのアカウント(自分のアカウント) の任意のメールボックス(追加のメールボックス) にアクセスできます。アクセスする場合、アカウ ント名にメールボックスの名前を指定します。指定の形式は、メールボックス名# アカウント名です。 下は、例です。
アカウント名
(メーラーのサーバー設定で指定できます)
アクセス対象のメールボックス
jsmithアカウントjsmith のメールボックスINBOX
private#jsmithアカウントjsmith のメールボックスprivate
lists/info#jsmith@client1.comドメインclient1.com のアカウントjsmithのメールボックスlists/info

また、ユーザーは、POP モジュールを介して、任意のアカウントの任意のメールボックス(つまり フォリンメールボックスまたは共有メールボックス)、また、任意のパブリックメールボックスにア クセスすることもできます。フォリンメールボックスとパブリックメールボックスについては、詳し くは直接メールボックスアドレッシングのセクションを参照してください。

別のアカウントのメールボックス(フォリンメールボックスなど) にアクセスする場合、アカウント 名を~ 別のアカウント/ メールボックス名# アカウント名の形式で指定します。下は、例です。
アカウント名
(メーラーのサーバー設定で指定できます)
アクセス対象のメールボックス
jsmithアカウントjsmith のメールボックスINBOX
~public/announces#jsmithパブリックメールボックスannounces
~boss/INBOX#jsmithアカウントboss のメールボックスINBOX
上の例では、ユーザーは、アカウントjsmith のパスワードを入力しなければなりません。これで、 jsmith として認証されます。

別のアカウントのメールボックスにユーザーがアクセスし、メールボックスのメッセージに対して削 除を行った場合、そのユーザーに、そのメールボックスのメッセージを削除する権限が付与されてい なかったときには、削除処理は失敗します。同時に、そのユーザーのメーラーにエラーコードが出力 されます。

POP モジュールではまた、直接メールボックスアドレッシング機能がサポートされており、この機 能を介して追加のメールボックスのオープンが可能です。


統合ドメインワイドアカウントのメッセージに対するアクセス

POP モジュールでは、統合ドメインワイドアカウントのフィルタリング機能がサポートされていま す。また、他のアクセスモジュールと同じく、POP モジュールでは、メーラーで指定されたユー ザー名はルータを使って処理されます。

例えば、クライアントメーラーでユーザー名としてabcdef@client1.com が指定されている場合 (を参照)、このアドレスは、ルータによりローカルのアカウントCl1 にルートされ、その結果、 アドレスのローカル部abcdef が返ります。

その後、POP モジュールにより、ローカル部がチェックされ、ローカル部の文字列が空白でなかっ た場合、アクセス対象のメールボックスに対してフィルタリングが実行されます。つまり、メール ボックスのメッセージのうち、X-Real-To ヘッダフィールド(または、Local Delivery モジュールで 指定されているヘッダフィールド) がないメッセージ、または、指定されている文字列( ローカル 部) がX-Real-To ヘッダフィールドに格納されていないメッセージはすべて、非表示として処理さ れます(つまり、表示されません)。

つまり、ユーザー名がabcdef@client1.com の場合、そのアドレスにルートされたメッセージだ けがアカウントCL1 のメールボックスに表示されます。

一方、ユーザーがアカウントCl1 で接続を実行すると、アカウントCL1 のメールボックスが開きま す。この場合、ローカル部の文字列が空白のため、メールボックスのメッセージはすべて表示されま す。

例:
ルータテーブルで、次のように定義されているとします。
client1.com = Cl1.local
次のアドレスにメッセージが送信されたとします。
abcdef@client1.com
このメッセージは、アカウントCl1 のINBOX にID101 で格納されます。また、メッセージに 次のヘッダフィールドが追加されます。
X-Real-To: abcdef
また、次のアドレスにメッセージが送信されたとします。
xyz@client1.com
このメッセージは、アカウントCl1 のINBOX にID102 で格納されます。また、メッセージに 次のヘッダフィールドが追加されます。
X-Real-To: xyz
上記の2 つのメッセージの格納後、POP セッション(ユーザーによるメールボックスへのアクセス) では、メーラーで指定されているユーザー名によって、異なる形式でメッセージ(つまり、そのユー ザー宛のメッセージだけ) が表示されます。下は、セッションの通信の内容です。

S: +OK CommuniGate Pro POP Server is ready
C: USER Cl1
S: +OK, send pass
C: PASS mypassword
S: +OK 2 message(s)
C: UIDL
S: +OK
S: 1 101
S: 2 102
S: .
C: QUIT
S: +OK bye-bye

S: +OK CommuniGate Pro POP Server is ready
C: USER abcdef@client1.com
S: +OK, send pass
C: PASS mypassword
S: +OK 1 message(s)
C: UIDL
S: +OK
S: 1 101
S: .
C: QUIT
S: +OK bye-bye

S: +OK CommuniGate Pro POP Server is ready
C: USER xyz@client1.com
S: +OK, send pass
C: PASS mypassword
S: +OK 1 message(s)
C: UIDL
S: +OK
S: 1 102
S: .
C: QUIT
S: +OK bye-bye

S: +OK CommuniGate Pro POP Server is ready
C: USER blahblah@client1.com
S: +OK, send pass
C: PASS mypassword
S: +OK 0 message(s)
C: UIDL
S: +OK
S: .
C: QUIT
S: +OK bye-bye

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